クロスロード研修
2024年12月11日
災害報道伝の経験を伝承するクロスロード研修がNHK大阪で行われ、7社から40名の記者、ディレクター、アナウンサー、カメラマンが参加し活発な意見交換が行われました。

7社が協同で30年前、震災の現場で取材にあたった記者、カメラマン、アナウンサーなど、14名の先輩に30時間に及ぶ聞き取りを行い、その証言をもとに、クロスロード(分かれ道)問題(例:「(生埋め救助現場で)取材をやめて救援活動を行う?YES/NO」)を制作。
災害現場で究極のジレンマに直面した時、自分ならどう判断し、どう行動するかを考える研修を実施ました。
<場所> NHK大阪放送局
<講演> 矢守克也(京都大学防災研究所 教授)
「研究者もメディアも同じ、実際の災害に直面する前に、準備できることはたくさんあるはず。災害報道の意味、必要性、被災地取材に必要な資材。災害が起きてからでは、遅い。起きる前にどれだけ準備できるかが問われている。連携も含め、議論の時に来ているのではないか」
参加者の声
記 者
「改めて災害発生時の連携を考える時期なのではと思った。視聴者の為に、(現場を)取り合う放送ではなく、シェアして視聴者にとってどの局を見ても有意義な情報が流れている災害報道。壁はあっても一つずつ取り払う方法はないのか模索する時期に来ているのでは」
記 者
「30年前の先輩たちも被災地で悩んでいた。今、東日本、能登の現場で、自分も悩んでいる。悩みながら進むしかないんだと実感した。被災者のために何が出来るのか、この現場で何を伝えるのか、答えがない中で悩み続けるしかないのだと思った」
アナウンサー
「被災地では、取材者としての自分と、目の前の人を助けたいという人間としての自分とのあいだで、葛藤すると思う。自分のしている事が、被災地で苦しんでいる人のためになるのか、自問自答していきたい。最後は、人間としての自分の気持ちで行動すると今は思う」
ニュースキャスター
「色んな立場の違う方、局の違う方の意見を聞くことが出来、自分はどう考えるのか問い続けた。是非、これからも継続して欲しい」
「自分はどうする?と自問自答し、脳が疲れ果てるくらい熱い2時間だった」
記 者
「能登での被災地取材に携わったが、自分はあの時どうしたら良かったのか、自分の放送は被災地の役に立てたのか、いまだもやもやとした思いを引きずりながら、神戸で震災30年の取材を行っている。今回、クロスロードという視点を得たことで、自分の中にあった対立する価値観を整理するための糸口を見つけられた気がする。気づき、学びが多かったので、震災年を越えても、各局持ち回りで、このような勉強会をずっと続けて欲しい。」